染料となる植物をよく識ることから始まります。ひとの体に安全な、なるべく環境を汚染しない染料と発色・定着のための媒染剤(椿などの木灰や酢酸アルミニウム、木酢酸鉄のみ)を使用しています。絞り、括り、板締めなどは浸し染に、蝋描き、型染などは引き染めにします。各々、昔からの染めものです。草木染工房しかりでは、これらを組合せ、より深みのある美しい彩 を造ります。テキスタイル、糸、小ものから着物、タペストリー、屏風などを天然素材を使用して創作していきます。



今は亡き隣の猫みーちゃん。毎日染料の上で寝てました。染料のほとんどは漢方薬。近所の猫たちはそれを知ってか、干した藍茎や矢車附子、茜の上などで丸くなって休んでいました。おかげで庭は猫の通り道となり、逆にけんかが絶えませんでした・・・
草木染は、まず天然染料を集めるところから始まります。
天然染料には、大まかに分けて 植物染料、動物染料、鉱物染料があります。
畑で栽培できるものは栽培をし収穫します。例 藍・紅花・マリーゴールド・ウコン等
庭などに植えられる木々は植えておき採取します。例 ざくろ・梅・桜・月桂樹等
山野に自生しているものは採取に向います。例 矢車附子・臭木・背高泡立草・月見草等
お知り合いなどからの頂き物もあります。例 中津川の栗きんとん店からの栗皮 等
大量に同じものが必要な場合や、日本では手に入らないものなどは染料店で購入します。例 茜・五倍子・刈安・コチニール等

それぞれの染料の採取時期、採取場所、特徴、染色時期、染色場所など 時や場所、そして染め方により ひとつの染料からいくつもの色合いを頂くことができます。化学染料と違い、自然のものばかりです、釜や時期により色違いがあるのは当然ですし、むらも出ますが、ひとつひとつの染料の特徴を知り、それを活かすということが草木染の醍醐味なのです。

梔子(くちなし)の実
梔子は結構どこでも毎年すくすくと生えますので、裏庭とかに植えておくといいでしょう。オレンジ色の実は10〜11月に採取します。


藍の葉は割りとどこでも育ちます。田畑の畦にはえている犬蓼とは違いますので、気をつけて!
夏は生葉染めをします。あの色は生葉でしかでない水色です。体験講座でも生葉染め講座があるので、染め方を知りたい場合は一度体験講座を受けてくださいね。
浸し染め(浸染)
染める布の重量に合わせ、
天然染料を水から煮出すところから始まります。
素材に合わせて染める前の準備(下処理 精錬や豆汁に浸すこと)を施した上で、布に浸して、手で繰り続けると、自然のものから頂いた色素が布に映っていきます。そして媒染液(椿灰汁・鉄さび上澄み液・木灰・石灰・明礬石)に浸すことによって、更なる色を発色させたり、色素を布に定着させます。そして、また染液に浸すという行為を何度も繰り返します。何度も繰り返すことで堅牢度(日光・摩擦・水洗・時間)が高まります。1回だけ染めただけでは、一度洗ったり、月日が経つと、退色してしまいます。とかく、草木染は堅牢度が悪いという印象が強いですが、何度も染め重ねればそんなことはありません。もちろん取り扱いや保存方法は昔のままが一番いいでしょう。基本的には、色は落ちて当たり前なものだという認識が必要なのかもしれません。永遠に落ちない色って逆に怖くないですか?

染める前に糸やロープで結んだり(括り)、縫い縮めたり(縫い絞り)、いろいろな形の板ではさんだり(板締め)、絞りを施したり、くしゃくしゃにしたりして(むらになります)防染すると、素朴な模様に染まります。いかに染めないところと染まるところを上手く融合させて模様を作るかということに、浸染めの楽しさがあります。どの防染技法にも知識と経験が必要となります。しかりでは、いろいろな技法を組み合わせてひとつひとつの作品を心を込めて作り上げていきます。

染色中はむらにしないためにも、常に布を動かし続けなければなりません。
大体ひとりが一日に染める量は1kg程です。少ししかできないですが、それなりの手間をかける意味がそこにはあるのだと思います。


大豆の汁(豆汁、呉汁 ゴジル)を作り、木綿や麻などの植物繊維に浸透させることにより、染料の吸着をよりよくさせます。よくハンカチやTシャツを染めてみてすぐに落ちてしまったという方がいますが、大体の場合は豆汁をしていないのと、一回しか染めていないのと、堅牢度のよくない染料を使っていることが多いです。浸染のときも引染めのときも豆汁をします。
引き染め
 布に張手(布の端と端を器具ではさみ、固定させるもの)を付け、伸子(シンシ 竹ひごに針が付いたもの)を打つと両側からひもで引っ張り、煮出した染液を付け五寸刷毛で染めていきます(途中媒染していきます)。リズムと訓練が必要になります。同じ染料を使っても、浸染とは違う色合いを得ることができますし、ぼかし染めや部分染め、多色使いも可能となります。刷毛で染液をごしごしと何度も何度も塗っていくことにより、染液は繊維の奥底まで染みていきます。浸染とは違う色合いになりますし、ぼかし染めや 部分染めもできるので用途用途で引き染めと浸染めを組み合わせていくとより複雑な色合いや模様ができあがります。

結構手や腕、肩が疲れますが、日々鍛錬です。大体60cmぐらいまでの巾なら普通にできますが、90cmを超える巾の布だとかなりきつい作業になります。日除けやタペストリーは大きいのでかなりの体力が必要です。



彫った型紙に紗張り。昔は漆でしたが、今はカシューで紙と布を貼り付けます。水洗いに強く、紙と布を貼り付けることができるものってこれぐらいしかない様です。紗を置いたら、刷毛でばんばん叩いて紗の編み目に入った空気を抜いて行きます。
型染め
 写生から図案を作り、渋紙(柿渋が塗られた美濃和紙:防水効果大)を彫り型紙を作ります。彫った部分が壊れない様に絹の紗を張り(紗張り)、餅粉・糠・塩・石灰・湯を練り糊を作り上げ、布の上に型紙を置いてへらで糊を置きます(糊置き)。乾かしてから、引き染めをし、もう一度引き染め、そして媒染を引き、最後にもう一度引きます。1回に4回ぐらい刷毛が通るので、×4回で、16回ぐらいは染めていくことになるのでしょうか。全ての工程後に水洗すると糊だけがとれて 型紙で彫った部分が染まらずに防染されて模様になります。その後必要であれば、染料を煮詰めたものや天然顔料を使い筆でひとつひとつ色差しをしていきます。

型は壊れるまで何度も何度も使います。糊を置く毎に型紙を水につけて洗います。強い和紙と水に強い柿渋が日本独特の文化で受け継がれていきます。世界には防染する技法は多々ありますが、紙で防染するのは日本だけです。


蝋描き
 ろうけつ染めのひとつの技法。気候やデザインによって蝋の質を調整し、筆で直接 模様や文字を描いて防染した後、引き染めします。蝋描きは、一発書きとなるため、作者の技量、力強さ、センスが重要となります。書家でもある房守 柴田玲甫が最も得意とする技法です。

何度も何度も紙で練習をしたあとに布に書き出します。